技人国ビザの外国人に現場作業はNG|不法就労になる理由と正しい在留資格の選び方
「うちには技人国ビザのベトナム人エンジニアがいる。
人手が足りない日くらい、現場を手伝ってもらえないか」――この発想、実はかなり危険です。
結論から言うと、技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)の在留資格で働く外国人に、建設現場での作業をさせることはできません。
させた場合、本人だけでなく会社側が不法就労助長罪(懲役・罰金)に問われるおそれがあります。
この記事では、なぜダメなのか、どこまでがセーフなのか、そして現場で働いてもらうための正しい在留資格を解説します。
技人国ビザとは ― 「頭脳労働」のための在留資格
技人国は、大学等で学んだ知識や実務経験を活かす専門職のための在留資格です。
建設業界なら、施工管理・設計・CADオペレーター・積算・通訳・海外営業などが典型です。
在留資格は「この活動をするために日本にいてよい」という許可です。
技人国の許可範囲は専門的・技術的業務であり、鉄筋を運ぶ・型枠を組む・清掃するといった現場作業は範囲外。
つまり、本人がやる気でも、会社が頼んでも、資格の範囲を超えた就労=不法就労になります。
「知らなかった」では済まない ― 不法就労助長罪
外国人に資格外の仕事をさせた事業主は、不法就労助長罪に問われるおそれがあります。
ポイントは、在留資格を確認しなかったことに過失があれば「知らなかった」は言い訳にならないことです。
雇用時に在留カードを確認する義務は、事実上すべての事業主にあります。
- 繁忙期だけ現場を手伝わせた ― アウトの典型例です
- 「研修の一環」と称して長期間現場作業をさせた ― 実態で判断されます
- 派遣・請負で来た外国人の資格を確認していなかった ― 受け入れ側も確認を怠ればリスクを負います
摘発されれば、刑事罰に加えて、以後の外国人雇用(在留申請)の審査が厳しくなり、会社の信用にも大きな傷が残ります。
どこまでセーフか ― 判断の物差しは「業務の実態」
- 施工管理者として工程・品質・安全の管理を行う ― 技人国の範囲内(ただし本人の学歴・経験との関連が必要)
- 管理業務に付随して、ごく一時的に軽作業を手伝う ― グレー。付随の範囲を超えれば違法です
- 恒常的に技能労働に従事する ― 明確にアウト。特定技能等が必要
「実態が現場作業かどうか」で判断されるため、肩書を「エンジニア」にしても実態が作業員なら違法です。
現場で働いてもらう正しい選択肢
| やってもらいたいこと | 正しい在留資格 |
| 現場での技能労働(土木・建築・設備) | 特定技能(建設分野)。JAC加入等の手続きは関連記事参照 |
| 技能を学びながらの就労 | 技能実習(今後は育成就労制度へ移行予定) |
| 施工管理・設計・積算・通訳 | 技人国(業務内容と学歴・経験の関連性が必要) |
| 留学生のアルバイト | 資格外活動許可の範囲内(週28時間以内)。現場作業も可能だが時間制限に注意 |
雇う前の3点チェック
- 在留カードの原本を確認(「就労制限の有無」欄と「資格外活動許可」欄を必ず見る)
- 在留カードの有効性を出入国在留管理庁の照会サイトで確認(偽造カード対策)
- 任せたい業務が在留資格の範囲内か、判断に迷ったら専門家に確認
よくある質問(FAQ)
- Q1.すでに技人国の社員に現場作業をさせてしまっていました。 ― A.直ちに業務内容を是正してください。そのうえで、現場で働いてもらいたいなら特定技能への在留資格変更を検討します。是正の進め方も含めてご相談ください。
- Q2.技人国の社員を特定技能に切り替えられますか? ― A.特定技能試験の合格等の要件を満たせば変更可能です。ただし本人のキャリアと給与設計に関わるため、本人とよく話し合ったうえで進めましょう。
- Q3.派遣会社から来る外国人は、派遣会社の責任ではないのですか? ― A.受け入れて働かせる側にも確認の責任があります。就労させる前に在留資格の確認を求めてください。
まとめ ― 在留資格は「肩書」ではなく「実態」で決まる
外国人雇用のトラブルの多くは、悪意ではなく「知らなかった」から起きます。
しかし在留資格の世界では、知らなかったことこそがリスクです。
自社の外国人材の業務が資格の範囲内か、一度点検してみてください。
当事務所は建設業出身の申請取次行政書士事務所として、在留資格の点検から特定技能への切り替えまでワンストップで対応します。
初回相談60分無料です。
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著者:煙山光宏(ジッピー行政書士事務所 代表/申請取次行政書士)。
重機土工の建設会社を17年経営した経験を持つ行政書士。
さいたま市大宮区。
