空き家の固定資産税が6倍に?「管理不全空家」に指定される家の特徴と回避方法
「空き家を放っておくと固定資産税が6倍になるらしい」――相続した実家をお持ちの方なら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
結論から言うと、これは単なる噂ではありません。
法改正により、管理されていない空き家は「管理不全空家」に指定され、市の勧告を受けると固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)が解除される制度が始まっています。
軽減が外れると、土地の固定資産税は最大でおおむね6倍になり得ます。
この記事では、どんな家が指定されるのか、そして指定を避けるために今日からできることを、さいたま市で空き家管理と相続手続きを扱う行政書士が解説します。
なぜ「6倍」になるのか ― 住宅用地特例のしくみ
住宅が建っている土地には「住宅用地特例」という強力な軽減措置があり、200平方メートルまでの部分は固定資産税の課税標準が6分の1に減額されています(200平方メートルを超える部分は3分の1)。
つまり、家が建っているだけで土地の税金は大幅に安くなっているのです。
この特例が解除されると、軽減されていた分が元に戻ります。
6分の1だった土地なら、計算上は最大で約6倍。
年間の税負担が数万円から数十万円に跳ね上がるケースもあります。
「ボロボロでも家を残しておけば税金が安い」という常識は、すでに過去のものになりました。
「管理不全空家」とは ― 特定空家の一歩手前でも指定される
以前から、倒壊のおそれがあるような危険な空き家は「特定空家」に指定され、勧告を受けると特例が解除される制度がありました。
2023年12月施行の改正空家対策特別措置法は、これに加えて「管理不全空家」という区分を新設しました。
管理不全空家とは、放置すればそのまま特定空家になるおそれのある空き家のことです。
つまり、倒壊寸前まで傷んでいなくても、管理が行き届いていない段階で指定の対象になります。
具体的には、次のような状態が目安とされています。
- 窓ガラスが割れたまま・雨戸が外れたまま放置されている
- 屋根材や外壁の一部が剥がれたり、ずれたりしている
- 雑草が生い茂り、庭木が越境している
- ポストに郵便物やチラシがあふれている(不在が明らか)
市町村から「指導」を受け、改善されないと「勧告」に進みます。
勧告を受けた時点で、その翌年度から住宅用地特例の対象外となります。
税金だけではない ― 放置空き家の本当のリスク
固定資産税は、実は入口にすぎません。放置空き家には、より重いリスクがあります。
- ①ご近所への損害賠償:台風で屋根材が飛んで隣家や通行人に損害を与えた場合、賠償責任を負うのは所有者です(民法717条の工作物責任)。保険に入っていなければ、賠償は全額自己負担になります。
- ②資産価値の下落:放置期間が長いほど雨漏り・シロアリ・小動物の侵入で建物の傷みが加速し、いざ売ろうとしたときの価格が下がります。
- ③近隣トラブル:草木の越境や不法投棄をきっかけに、ご近所との関係が悪化します。遠方に住んでいると、苦情が届くことすら遅れます。
指定を回避する方法 ― 「管理されている状態」を保ち、記録に残す
裏を返せば、管理不全空家の指定を避ける方法はシンプルです。「管理されている状態」を保ち、それを説明できるようにしておくことです。
- 月1回程度の巡回で、外観・敷地の異変を早期に発見する
- 郵便物・チラシを定期的に回収する(不在を悟らせない防犯効果もあります)
- 草刈り・庭木の剪定を年に数回行う
- 台風や地震の後は臨時で点検し、屋根・外壁の破損を放置しない
- 巡回・手入れの記録を写真で残す(市から問い合わせがあった際に「管理している」ことを示せます)
遠方にお住まいで自分では通えない場合は、空き家管理サービスの利用が現実的です。
当事務所では月1回の巡回と写真付き報告書を月額4,400円(税込)から提供しており、管理の記録がそのまま「管理不全空家対策」になります。
行政書士事務所ですので、その先の相続手続きや売却時の各種手続きの相談まで、同じ窓口でお受けできます。
よくある質問(FAQ)
- Q1.本当にきっかり6倍になるのですか? ― A.「6倍」は200平方メートル以下の部分の軽減(1/6)が解除された場合の最大値です。実際の税額は土地の評価額や負担調整措置により変わり、おおむね3〜4倍程度になるケースもあります。いずれにしても大幅な増額です。
- Q2.指定される前に市から連絡はありますか? ― A.通常は指定・勧告の前に、市町村から助言・指導の連絡があります。所有者の住所が変わっていて通知が届かないケースが危険です。相続登記や住所変更の手続きを済ませておきましょう。
- Q3.解体して更地にすれば安心ですか? ― A.更地にすると住宅用地特例が確実に外れるため、税額はむしろ上がります。売却・活用の予定が決まるまでは「適切に管理しながら維持する」のが合理的な場合が多く、出口戦略とセットで考えることをおすすめします。
まとめ ― 「管理の記録」が資産と家族を守る
空き家の固定資産税6倍は、管理されていない空き家に限った話です。
月1回の巡回と記録という基本の管理を続けていれば、指定を過度に恐れる必要はありません。
「実家が空き家のままで、どうすればいいか分からない」という段階のご相談も歓迎です。
管理・相続手続き・売却や活用の選択肢まで、初回相談60分無料でまとめて整理します。
さいたま市とその近郊の空き家は、現地確認とお見積りも無料です。
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(2026年7月20日時点の情報です。制度の運用は市町村により異なります。)
著者:煙山光宏(ジッピー行政書士事務所 代表/申請取次行政書士)。
重機土工の建設会社を17年経営した経験を持ち、建物・外構の傷みを現場目線で判断できる行政書士。
さいたま市大宮区。
