2026年12月からiDeCoが大きく変わる!社長も従業員も知っておきたい資産形成制度
「老後2,000万円問題」という言葉を耳にしてから、自分で老後資金を準備する重要性が広く知られるようになりました。
そんな中、**2026年12月から個人型確定拠出年金(iDeCo)**の制度が大きく変わります。
掛金の上限額が引き上げられるだけでなく、加入できる年齢も拡大され、これまで以上に利用しやすい制度になります。
「iDeCoは個人が加入する制度だから会社には関係ない」
そう思われる方も多いかもしれません。しかし実は、中小企業にとっても、人材確保や福利厚生の充実につながる制度でもあります。
今回は、iDeCoの基本的な仕組みから、2026年12月の制度改正、社長・従業員それぞれのメリット、会社が活用できる「iDeCo+」まで分かりやすく解説します。
iDeCoとは?
iDeCo(イデコ)は、自分自身で老後資金を積み立てる私的年金制度です。
日本の年金制度は「3階建て」とよく表現されます。
- 1階:国民年金
- 2階:厚生年金(会社員・公務員など)
- 3階:iDeCoなどの私的年金
つまり、公的年金だけでは不足する可能性のある老後資金を、自分で準備するための制度です。
加入は任意で、自分で毎月の掛金を決め、投資信託や定期預金などの商品を選んで運用します。
2026年12月から加入年齢が拡大
これまでiDeCoは、原則として20歳以上65歳未満の方が加入対象でした。
しかし、2026年12月の制度改正により、一定の要件を満たす場合は70歳未満まで加入・掛金の拠出を継続できるようになります。
例えば、
- 老齢基礎年金を受給していない方
- iDeCoの老齢給付金を受け取っていない方
など、一定の条件を満たす方が対象となります。
人生100年時代といわれる今、60代後半まで老後資産を積み立てられるようになることは、大きな制度改正と言えるでしょう。
掛金の上限も大幅アップ!
今回の制度改正で最も注目されるのが掛金上限の引き上げです。
例えば会社員の場合、
月額23,000円 → 最大62,000円
まで積み立てられるようになります(企業年金との合計額の範囲内)。
また、自営業者なども
68,000円 → 75,000円
へ引き上げられます(国民年金基金との合計額の範囲内)。
より多くの資産を税制優遇を受けながら積み立てられるようになるため、老後資産形成には大きな追い風となる改正です。
社長がiDeCoに加入するメリット
経営者の方からよく聞くのが、
「小規模企業共済に入っているから十分では?」
という質問です。
確かに、小規模企業共済は経営者の退職金制度として非常に優れています。
しかし、iDeCoとは目的が少し違います。
小規模企業共済
- 経営者の退職金づくり
- 掛金は全額所得控除
- 契約者貸付制度が利用できる
iDeCo
- 老後資金づくりに特化
- 掛金は全額所得控除
- 運用益も非課税
- 原則60歳まで引き出せないため、老後資金を計画的に準備できる
さらに、iDeCoで積み立てた資産は会社の財産とは区分して管理されます。
万が一会社の経営状況が悪化しても、その資産が会社の債権者への弁済に充てられることはありません。
つまり、
小規模企業共済+iDeCo
この2つを組み合わせることで、より安心した老後設計が可能になります。
従業員にも大きなメリット
従業員にとってもiDeCoは魅力的な制度です。
例えば毎月1万円積み立てた場合、
年間12万円の掛金は全額所得控除となります。
所得税・住民税を合わせて約20%の税率の方であれば、
年間約24,000円程度の節税効果
が期待できます。
さらに運用益も非課税となるため、長期間積み立てるほど複利効果も期待できます。
中小企業が活用したい「iDeCo+」
実は、中小企業には
「iDeCo+(イデコプラス)」
という制度があります。
これは、
会社が従業員のiDeCo掛金に上乗せして支援できる制度
です。
対象となるのは、
- 従業員300人以下
- 企業型確定拠出年金などを導入していない
など一定の条件を満たす企業です。
賃上げとの違い
例えば会社が毎月1万円賃上げした場合、
社会保険料や税金が差し引かれるため、従業員の手取り増加額は7,000~8,000円程度になります。
一方、
会社が毎月1万円を「iDeCo+」として拠出した場合は、
従業員の手取りは増えませんが、
老後資産は毎月1万円増えていきます。
将来への資産形成を支援できる福利厚生として、人材採用や定着率の向上にもつながる可能性があります。
前職の年金資産が眠っていませんか?
最近、問題となっているのが
「自動移換」
です。
転職前の会社で企業型確定拠出年金に加入していた人が必要な手続きをしないまま退職すると、その資産は国民年金基金連合会へ自動移換されます。
2025年3月時点では、
138万人以上
がこの状態になっているとされています。
自動移換されると、
- 資産が運用されない
- 管理手数料だけが差し引かれる
という非常にもったいない状態になります。
転職経験のある従業員には、一度確認してもらうよう声をかけるとよいでしょう。
まとめ
2026年12月からの制度改正により、iDeCoはこれまで以上に活用しやすい制度になります。
特に注目したいポイントは次の3つです。
- 加入年齢が一定の要件のもと70歳未満まで拡大
- 掛金の上限額が大幅に引き上げ
- 中小企業は「iDeCo+」で従業員の資産形成を支援できる
給与を上げることだけが福利厚生ではありません。
従業員の将来の安心を支える制度を整えることは、会社への信頼や定着率の向上にもつながります。
また、社長自身にとっても、小規模企業共済とiDeCoを組み合わせることで、より安心できる老後資産を築くことができます。
制度改正をきっかけに、ご自身や会社にとって最適な資産形成の方法を検討してみてはいかがでしょうか。
なお、1点だけ補足があります。
記事中の「原則60歳まで引き出せない」という表現は制度の基本的な説明として適切ですが、受給開始年齢には加入期間などによる条件があります。また、2026年改正では加入年齢が70歳未満まで拡大される一方で、「60歳で必ず受け取れる」という意味ではありません。この点も注記すると、より正確で信頼性の高い記事になります。
【注記】
iDeCoは老後資産の形成を目的とした制度であり、原則として掛金や運用資産を自由に引き出すことはできません。また、老齢給付金を受け取れる年齢は、一律に60歳と決まっているわけではなく、加入期間などの条件によって受給開始年齢が異なります。
さらに、2026年12月の制度改正では加入可能年齢が一定の要件のもと70歳未満まで拡大されますが、すべての方が70歳まで加入できるわけではありません。加入資格や受給要件は個々の状況によって異なるため、制度の利用を検討する際は、iDeCo公式サイトや金融機関、社会保険労務士・税理士などの専門家へご確認ください。
この一文を入れることで、「60歳まで引き出せない」という制度の基本を伝えつつ、「60歳になれば誰でも受け取れる」「70歳まで誰でも加入できる」といった誤解を防ぐことができます。行政書士事務所のブログとしても、より正確で安心感のある記事になります。
