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位置指定道路を駐車場代わりに使われたら?通行権と妨害排除請求を判例から解説

駐車禁止

「私道だから多少の駐車は仕方ない」と我慢していませんか?

実は、位置指定道路では他の利用者の通行を妨害する行為は法的に排除できます

その根拠は、最高裁判例で位置指定道路の通行妨害に対する妨害排除請求権が認められているためです。

この記事では、位置指定道路のトラブルで悩んでいる方に向けて、判例に基づく具体的な対処法を解説します。

この記事でわかること

  • 位置指定道路とは何か、普通の私道との決定的な違い
  • 最高裁判例が認めた「通行権」の内容と法的根拠
  • 妨害排除請求権の具体的な使い方と手続きの流れ
  • 弁護士に相談する前に自分でできる対処法
  • 裁判に至らずにトラブルを解決する方法

そもそも「位置指定道路」とは?普通の私道との違い

まず、大前提を確認しましょう。

「位置指定道路」と「普通の私道」はまったくの別物です。

位置指定道路とは、建築基準法第42条第1項第5号に基づき、特定行政庁から「道路の位置の指定」を受けた私道のことです。

つまり、土地の所有者は個人であっても、行政が「ここは道路です」と認めた特別な私道なのです。

位置指定道路の3つの特徴

  1. 建築基準法上の道路として扱われる: 接道義務を満たすための道路になる
  2. 一般の通行が保障される: 所有者でも自由に封鎖や妨害ができない
  3. 建築制限がかかる: 道路内に建物を建てることができない

ここが重要なポイントです。

普通の私道であれば、所有者がある程度自由に使用できます。しかし位置指定道路は、行政が「道路」として認めた以上、公共性のある通路として扱われるのです。


実際の相談事例:私道を駐車場代わりに使う隣人

私の経験で言うと、このようなご相談は非常に多いです。

典型的なケースをご紹介します。

Aさんは自宅前の位置指定道路に、毎日のように自家用車を駐車しています。この道路はAさん、Bさん、Cさんの3名で共有している私道です。

BさんやCさんは「車をどかしてほしい」と何度もお願いしましたが、Aさんは「自分の土地だから好きに使って何が悪い」と取り合いません。

正直、こうした隣人トラブルは精神的にとても辛いですよね。

でも大丈夫です。法律はあなたの通行権をしっかり守っています。


最高裁判例が認めた「位置指定道路の通行権」

この問題について、最高裁は明確な判断を下しています。

最高裁の重要な判示

最高裁は、位置指定道路について次のように判断しました。

位置指定道路の通行について日常生活上不可欠の利益を有する者は、その通行利益は法的保護に値する

つまり、毎日その道路を通って生活している人の通行権は、法律で守られるべきだということです。

通行権が認められる人の範囲

ここで注意すべきポイントがあります。

通行権が認められるのは、共有持分を持っている人だけではありません。

共有持分がなくても、日常的に通行している人には通行権が認められます。

具体的には、以下のような方が該当します。

  • 位置指定道路に面した土地の所有者
  • その道路を日常的に通行して生活している住民
  • 道路に接する建物の居住者

妨害排除請求権とは?3つの物権的請求権を解説

では、通行を妨害された場合、具体的にどのような法的手段が取れるのでしょうか。

ここで登場するのが「妨害排除請求権」です。

人格権に基づく妨害排除請求権

位置指定道路の通行妨害に対しては、人格権に基づく妨害排除請求権が認められています。

人格権とは、人が人として当然に持つ権利のことです。日常生活に不可欠な道路を通行する利益は、まさにこの人格権に含まれると判断されています。

物権的請求権の3つの種類

法律上、物の支配に関する権利(物権)が侵害された場合、以下の3つの請求権が認められています。

  1. 返還請求権: 物を不法に占有されている場合に、返還を求める権利
  2. 妨害排除請求権: 物の利用が妨害されている場合に、妨害の排除を求める権利
  3. 妨害予防請求権: 将来の妨害が予想される場合に、予防措置を求める権利

位置指定道路に車を駐車して通行を妨害するケースでは、妨害排除請求権を行使して、車の撤去を求めることができます。


裁判の前に!自分でできる5つの対処法

「裁判は費用がかかりすぎて現実的じゃない」と思っていませんか?

実は、裁判に至る前に解決できるケースも多いのです。

STEP1:記録を残す

まず、妨害の状況を写真や動画で記録しましょう。日時がわかるようにすることが重要です。

STEP2:書面で申し入れをする

口頭でのお願いは「言った・言わない」の争いになります。書面で通行妨害の中止を求めることをおすすめします。

STEP3:内容証明郵便を送る

書面でも改善されない場合は、内容証明郵便で正式に通知します。判例の存在を示して法的措置を予告するだけで、相手が態度を改めるケースは数多くあります。

STEP4:自治体・行政に相談する

位置指定道路は行政が指定した道路です。特定行政庁(市区町村の建築担当部署)に相談することで、行政指導が行われる場合があります。

STEP5:弁護士に相談する

上記で解決しない場合は、弁護士への相談を検討しましょう。初回無料相談を実施している事務所も多いので、まずは相談してみることをおすすめします。

絶対にやってはいけないこと

一つだけ、絶対に注意していただきたいことがあります。

相手の車を勝手に動かしてはいけません。

日本の法律では「自力救済」(自分の力で権利を回復すること)は原則として禁止されています。勝手に車を動かすと、逆に損害賠償を請求されるリスクがあります。

必ず法的手続きを通じて解決しましょう。


警察に相談しても解決しない理由

「警察に言えば何とかしてくれるだろう」と思う方も多いかもしれません。

しかし、実は私道上の駐車問題は民事上の問題です。

道路交通法の適用は原則として公道が対象であり、私道上の問題は当事者間の民事訴訟で解決する必要があります。

警察に通報しても「当事者同士で話し合ってください」と言われるケースがほとんどです。

だからこそ、先ほどご紹介した法的手続きの知識が重要なのです。


まとめ

位置指定道路の通行妨害について、重要なポイントを整理します。

  • 位置指定道路は普通の私道とは違い、公共性のある道路として法的に保護される
  • 最高裁判例で「日常生活上不可欠の通行利益」は法的保護に値すると認められている
  • 通行権は共有持分がなくても、日常的に通行している人に認められる
  • 妨害排除請求権(人格権に基づく)を行使して通行妨害の排除を求めることができる
  • 内容証明郵便や行政への相談など、裁判の前にできる対処法がある
  • 自力救済(相手の車を勝手に動かすなど)は絶対にNG

位置指定道路のトラブルは、放置すればするほどエスカレートする傾向があります。

早い段階で法的な知識を身につけ、適切な対応を取ることが大切です。


「位置指定道路のトラブルで困っている」「法的な対処法をもっと詳しく知りたい」という方は、お気軽にご相談ください。実務経験に基づいた具体的なアドバイスをさせていただきます。